「AWSの初級者向けAI・ML資格『AWS Certified AI Practitioner』の傾向と対策」というタイトルで Classmethod AI Talks(CATs)第3回に登壇しました #catalks

「AWSの初級者向けAI・ML資格『AWS Certified AI Practitioner』の傾向と対策」というタイトルで Classmethod AI Talks(CATs)第3回に登壇しました #catalks

2024年8月からベータ試験が開始された、AWSの初級者向けAI資格『AWS Certified AI Practitioner』。本試験の開始を前に、試験の内容や、重点的に学ぶべき分野、効果的な勉強方法についてご紹介します。
Clock Icon2024.10.09

Classmethodで始動した生成AIコミュニティ CATs(Classmethod AI Talk)の第3回で、2024年10月から本試験を受けられるようになったAWSの新しい入門レベルAI資格「AWS Certified AIプラクティショナー」の試験の内容や、重点的に学ぶべき分野、効果的な勉強方法について登壇しました。

ロールに関係なく、AWSやAIの基礎をおさえれば誰でも合格できるので、生成AIに興味を持った方やスペシャルティの機械学習資格は敷居が高かった方など、ぜひご挑戦ください。

https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-ai-practitioner/

登壇資料

AWS認定について

AWS は、クラウドに関する技術スキルと専門知識を評価し、証明するための認定試験プログラムを提供しています。

この認定試験は

  • ファンデーショナル
  • アソシエイト
  • プロフェッショナル
  • スペシャリティ

という4つのレベル、12種類の資格で構成されています。

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スペシャルティが3個と寂しくなっていますが

  • SAP on AWS
  • Database
  • Data Analytics

などは新規に受験できなくなっています。

AWSのAI/ML資格も3レベルに

AWS資格の中で中心的な存在と言えるのが、アーキテクト系の資格であり、初級・中級・上級の3段階が用意されています。

  • CLF:クラウドプラクティショナー
  • SAA:ソリューションズアーキテクト・アソシエイト
  • SAP:ソリューションズアーキテクト・プロフェッショナル

従来は上級レベルのスペシャルティしかなかったAI資格に、初級・中級レベルが追加され、最近AIに興味を持った方や上級資格は敷居が高く感じていた方も気軽に資格挑戦しやすくなりました。

  • AIF:AIプラクティショナー
  • MLA:機械学習エンジニア・アソシエイト
  • MLS:機械学習スペシャルティ

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AWS Certified AI Practitioner(AIF)について

AIFはAWSのAI/ML テクノロジーを使用するソリューションを熟知してはいるが、必ずしも構築するわけではないという個人を対象としています。

AIFを一言でいうと 需要の高い3領域のスキルを実証できる、一粒で三度美味しい資格 です。

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クラウドプラクティショナー(CLF)と同じく試験時間は90分で問題数は65問です。日本語で受験可能です。

AIFの詳細は19ページある「試験ガイド」で提示されています。

https://d1.awsstatic.com/ja_JP/training-and-certification/docs-ai-practitioner/AWS-Certified-AI-Practitioner_Exam-Guide.pdf

AIFの5つのドメインと重み

AIFの試験ガイドでは、試験範囲として5分野と各分野の出題割合が提示されています。
これら分野は更に3つのカテゴリーに分類できます。

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AIFの特徴3つ

AIF試験には、以下のような重要な特徴が3つあります

1. AIの知識が疎かだと合格は難しい

AIFは、名前の通りAIに関する試験です。

特に、試験対策を求めるような人の場合は「AWS の初級レベルの試験」ではなく、「AI の初級レベルの試験」と捉えることをおすすめします。

特に、AWSの一般論で各種AWS試験を乗り切っている人は注意が必要です。

2. どのAmazon SageMakerか聞かれる

AIFではどのSageMakerか聞かれます。

AI系とアーキテクト系のそれぞれの3段階の資格に対して、試験ガイドでSageMakerの登場回数を数えると、一般の試験だと数回程度しか登場しません。つまり、AWSの機械学習系サービスにSageMakerがあることしか問われていません。

一方で、最近追加されたAI系の2つの試験では、ファウンデーショナルのAIFでもSageMakerが12回も登場し、アソシエイトのMLAに至っては39回とほとんど至る所SageMakerです。

出題範囲のSageMakerについては、どのSageMakerなのか区別がつくようにしておきましょう。

試験ガイドのSageMaker登場回数

3. 出題範囲がMLSと大きく異なる

AIFとMLSでは出題範囲が大きく異なります。

上級資格の機械学習スペシャルティのMLSは2019年から存在しています。

一方で、AIFはその後に大きく発展した生成AIやAIと社会の関係性にフォーカスしており、MLSで問われる内容とは大きく異なるため、MLS資格を持っている人も、フレッシュな気持ちで学習しましょう。

AIF のドメインの詳細

続いて、5つのドメインを確認します

第1分野 : AIとMLの基礎

第1分野の「AIとMLの基礎」では、AI/ML/深層学習の違い、教師あり/教師なし/強化学習の違い、機械学習のパイプラインなどAIとMLの基礎知識が聞かれます。

  • 1.1. AI の基本的な概念と用語を説明する。
  • 1.2. AI の実用的なユースケースを特定する。
  • 1.3. ML 開発ライフサイクルについて説明する

キーワード

  • AI/ML/深層学習、LLM、自然言語処理、モデル、推論、ラベル、モデル、トレーニングと推論、バイアス、大規模言語モデル、教師あり/教師なし/強化学習、回帰、分類、クラスタリング、MLパイプライン、MLOps、モデルの評価、ROC曲線、AUC、F1スコア

AWSサービス

  • Amazon Comprehend, Amazon Lex, Amazon Polly, Amazon SageMaker, Amazon SageMaker Data Wrangler, Amazon SageMaker Feature Store, Amazon SageMaker Model Monitor, Amazon Transcribe, Amazon Translate

第2分野 : 生成AIの基礎

第2分野の「生成AIの基礎」では、埋め込み、プロンプトエンジニアリング、基盤モデル、ハルシネーションといったトピックが聞かれます。

  • 2.1. 生成 AI の基本概念を説明する。
  • 2.2. ビジネス上の問題解決に生成 AI を使用する場合の可能性と限界を理解する。
  • 2.3. 生成 AI アプリケーションを構築するための AWS インフラストラクチャとテクノロジーについて説明する。

キーワード

  • トークン、チャンク、埋め込み、プロンプトエンジニアリング、画像生成、チャットボット、LLM、基盤モデル、解釈可能性、ハルシネーション

AWSサービス

  • Amazon Bedrock, Amazon Bedrock Playground, Amazon Q, Amazon SageMaker JumpStart, PartyRock

第3分野 : 基盤モデルの応用

第3分野の「基盤モデルの応用」はAIFの技術的なハイライトで、難しいキーワードが並んでいます。
RAGやベクトルデータベースの使い方や基盤モデルのカスタマイズ方法などテクニカルな知識が問われます。

  • 3.1. 基盤モデルを使用するアプリケーションの設計上の考慮事項を説明する。
  • 3.2. 効果的なプロンプトエンジニアリング手法を選択する。
  • 3.3. 基盤モデルのトレーニングとファインチューニングのプロセスを説明する。
  • 3.4. 基盤モデルのパフォーマンスを評価する方法を説明する。

キーワード

  • モデルの選択、推論パラメータ、RAG、ベクトルデータベース、基盤モデルのカスタマイズ、事前トレーニング、ファインチューニング、転移学習、継続事前学習、インストラクションチューニング、RLHF、エージェント、プロンプトエンジニアリング、0/single/few-shot学習、ガードレール、ジェイルブレイクプロンプト、ROUGE/BLEU/BERTScore

AWSサービス

  • Amazon Aurora, Amazon Bedrock, Amazon DocumentDB, Amazon Neptune, Amazon OpenSearch Service, Amazon RDS for PostgreSQL

第4分野 : 責任あるAIに関するガイドライン

第4分野の「責任あるAIに関するガイドライン」ではバイアスやガードレールやハルシネーションや解釈可能性といったキーワードを押さえておく必要があります。

  • 4.1. 責任ある AI システムの開発について説明する。
  • 4.2. 透明性の高い説明可能なモデルの重要性を認識する。

キーワード

  • バイアス、公平性、ガードレール、ハルシネーション、データセットの特徴、モデルのモニタリング、透明性、解釈可能性

AWSサービス

  • Amazon Augmented AI (Amazon A2I), Amazon Bedrock Guardrails, Amazon SageMaker Model Monitor, Amazon SageMaker Clarify

第5分野:AIソリューションのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス

第5分野ではAIをAWS上で構築する上でのセキュリティや ガバナンスや暗号化などが聞かれます。

  • 5.1. AI システムを保護する方法を説明する。
  • 5.2. AI システムのガバナンスとコンプライアンス規制を認識する。

キーワード

  • セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス、データリネージ、データのカタログ化、脅威検出、脆弱性管理、プロンプトインジェクション、暗号化、コンプライアンス基準、データガバナンス戦略、ガバナンスプロトコル

AWSサービス

  • AWS Artifact, AWS Audit Manager, AWS CloudTrail, AWS Config, AWS IAM, AWS PrivateLink, AWS Trusted Advisor, Amazon Inspector, Amazon Macie, Amazon SageMaker Model Cards

AIFが求める領域

AIF試験をドメインとは別の切り口でAIFを捉えると、以下の3つの領域の知識が求められます。

  • AI・MLの一般論
  • AWSの一般論
  • AWSのAI/MLサービス

AIの専門家ではない一般受験者の場合、特に「AI・MLの一般論」の学習余地が大きいです。

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AIFの学習コンテンツ

AIFの様々な学習コンテンツを共有します。
自分の学習スタイルに合わせて、取捨選択してください。

リソース 試験 AWS AI
AWS Skill Builder Exam Prep
AWS re:Invent 2024
AWSサービス別資料
AWS生成AIトレーニング
Google ML集中講座

AWS Skill Builder Exam Prep

AWS Skill BuilderはAWSが提供するオンライン学習プラットフォームです。AIF試験についても、有償・無償のコンテンツが存在します。
まずは、無償の模擬試験とPrep Planがオススメです

https://skillbuilder.aws/exam-prep/ai-practitioner

模擬試験

模擬試験では、AIFではどういう出題形式でどういうことが問われるのか、確認できます。

無償版は20問、有償版は65問です。

https://explore.skillbuilder.aws/learn/course/external/view/elearning/19791/Exam-Prep-Official-Practice-Question-Set:-AWS-Certified-AI-Practitioner-AIF-C01-Japanese-

Prep Plan

スタンダードのPrep Planでは、試験ガイドに対応する学習コンテンツが18時間分、無料で開放されており、AIの知識がなくても、ゼロから学べる親切設計になっています。

有償版は合計27時間45分あります。

https://explore.skillbuilder.aws/learn/public/learning_plan/view/2193/standard-exam-prep-plan-aws-certified-ai-practitioner-aif-c01

re:Invent 2024

https://registration.awsevents.com/flow/awsevents/reinvent24/public/page/catalog?trk=direct&search=Practitioner

2024年12月にラスベガスで開催されるAWSの年次イベント re:Invent 2024 では、AIプラクティショナーに関連するセッションがあります。

トレーニング・資格の TNC 系だけでなく、主体的にユーザーが参加するゲームデイの GHJ 系でもあるので、ぜひご参加ください。

AIFのセッションをいくつか紹介します。

TNC105-R | Exam Prep: AWS Certified AI Practitioner

Prepare for the AWS Certified AI Practitioner exam with this 90-minute study session. Review questions from the official practice question set. Ask questions of the subject matter expert leading the study session. Continue preparing for your exam with confidence following the four-step plan on AWS Skill Builder.

  • Monday, December 2
  • 10:30 AM - 12:00 PM PST
  • Mandalay Bay | Level 2 South | Breakers H
  • Session types: Exam Prep
  • Topic: AI/ML, Training & Certification
  • Area of interest: Generative AI
  • Level: 100 – Foundational
  • Role: IT Professional / Technical Manager, Sales / Marketing

GHJ101-R1 | AWS escape room: Exam prep for Certified AI Practitioner

Prepare for the AWS Certified AI Practitioner exam by playing a 3D virtual escape room game. Select an avatar, enter a narrative-driven world, and solve a series of interactive puzzles, exam-style questions, and hands-on labs to leave locked rooms. Compete against others to escape first! You must bring a laptop with a Chrome, Firefox, or Edge browser to participate. Headphones are recommended but optional.

  • Thursday, December 5
  • 9:00 AM - 12:00 PM PST
  • Mandalay Bay | Level 2 South | Breakers H
  • Session types: Gamified learning
  • Topic: AI/ML
  • Industry : Cross-Industry Solutions
  • Area of interest: Generative AI
  • Level: 100 – Foundational
  • Role: IT Executive, IT Professional / Technical Manager, Sales / Marketing

AWSサービス別資料

https://aws.amazon.com/jp/events/aws-event-resource/archive/

Amazon Bedrockなど、特定のAWSサービスについて詳しく知りたい場合、AWSのサービス別資料が役に立ちます。サービス単位で動画・PDFが提供されています。
AIFの場合では、詳細に深入りしなくて大丈夫です。

AWS生成AIトレーニング

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-training-gen-ai/

AIFの出題範囲の半分を占める生成Aについて学べる有償トレーニングもあります。

手も動かしながら学習したい方におすすめです。
クラスメソッドもトレーニングを提供しています。

Googleの機械学習集中講座

https://developers.google.com/machine-learning/crash-course

最後はグーグルが提供する15時間分の無料のAI学習コンテンツの紹介です。

繰り返しとなりますが、AIFはAIの知識が大事です。
Skill Builderとは異なる視点でAIを学びたい場合に、参考にするとよいでしょう。

AIFの試験対策としては、隅々まで目を通す必要はありません。特に、コーディング課題をスキップすることで、時短できます。

AIFの学習計画

AIFを受験するとしたら、以下の順で学習しましょう。

  1. Skill Builder公式模擬試験を受ける(30分)
  2. Skill Builder Prep Planで広く浅く学ぶ(18時間) ※ 適宜スキップ
  3. 受験前にAWSのAIサービスを復習(特にSageMaker)

まとめ

AWS資格に人気のAIの初級(AIF)・中級(MLA)資格が追加されました。

AIプラクティショナーは入門レベルの位置づけなので、生成AIに興味がある方やAWSのAIサービスに触れてみたい方にとって、入門として挑戦しやすい資格です。

AIFはAWSに詳しい技術者でも、AIの知識が弱いと不合格になってしまいます。
一方で、非技術者でも、AIの基礎を学べば、簡単に合格できます。

試験対策にはスキルビルダーを活用し、AIの基礎をしっかりと固めて試験に臨みましょう。

参考

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